彼女は会社の先輩だ。彼女の事を知ればしるほど、僕は彼女に惹かれていった。
そんなある日、突然夜中に日向子から電話がかかってきた。
「逢いたい…」
と言った日向子の声は泣いていた。
僕は、日向子の泣き声を聞いて自分の愚かさを思い知らされた。
僕は酷い男だ。あんなに僕を愛して、支えてくれた女性を裏切って、泣かせている。
でも、もう変化した気持ちは変えられない。
そして僕は、日向子と別れる決意をした。
何日か後に僕は日向子を近くの公園に呼び出した。その日もよく晴れていて、今日みたいに夕暮れが綺麗だった。
僕は日向子とちゃんと向き合うのが本当は怖かった。自分が情けなくて逃げ出したかった。
でも、日向子を裏切り深く傷つけたのは僕だ。 僕にはもう、日向子の傷を癒やしてあげることは出来ないが、ちゃんと終わらせてあげることはできる。自分勝手かも知れないが、ちゃんとサヨナラを伝えることで日向子の心の傷は少しでも早く癒えることだろう。これが日向子に対して僕ができる最後の愛だった。
少しして、日向子が来た。昨日ずっと泣いていたのだろうか、目が真っ赤で少し腫れている。
「こんにちは。」
日向子は必死に笑顔を作っていた。
「日向子…別れよう。いままで辛い思いばかりさせてごめんな…ずっと支えてくれてありがとう」 僕が別れを告げると、日向子は泣き崩れた。
「光くん…もうやり直せないの?」
僕は日向子の問いかけに静かに首を振った。僕の目からは何時の間にか涙が溢れていた。