僕は今中華街にある倉庫に居た。
なぜこんなところに居るのか僕自身分からない。
だが、分かっている事もある。
僕は人を殺した。
しかも、二人も・・・。
でも、僕が悪かったわけじゃない。
あいつらはまともであってまともじゃない。
少なくとも僕から見ればあいつらは狂っている。
ここは未来の世界。
僕が夢見てた世界。のはずだった。
でも違っていた。
この世界はありとあらゆる法律で縛られ、人々は厳しすぎる法律に怯え、外には人がほとんど居ない。
居るとしたら生活の苦しみから逃れるために必死にどこから仕入れたかも分からないような食べ物を売る人ぐらいだ。
おそらくとんでもない高値で売って、売れ残りは自分で食べるのだろう。
それでも食えない物はさっきから店の方をずっと見ているカラスたちが捨てた直後に我先にと啄むのだろう。
この世界に疑問を持っているのは僕だけじゃないはずだ。
いや、そうであって欲しい。
あれは僕がこの世界に来てまだそんなに経っていない頃だった。
手作りのタイムマシーンで未来の荒野に無事降りたった僕はとりあえず街に向かおうとひたすら歩いた。
「いざという時のためにマシンは街外れに置いておいたほうがいいだろう」そう思った僕はうだるような暑さのなかとにかく歩いた。
一時間以上は歩いたのだろう。ようやく街に着きとにかく喉が渇き、腹も減った僕は飲食店を探した。
実を言うと、未来の食べ物にも興味があったのだ。
持ち合わせもそんなにないが、昔の貨幣は貴重だろうとたかをくくっていた僕は満腹を期待して、街を歩き回った。
しかし、一向にそれらしき店が見つからない。
街の入り口に中華街と書いてあったのに、さっきから出店しかないじゃないか。しかも、微かに異臭が漂う。
食べ物はもちろんそうだろうが、何か別に腐っているモノでもあるのだろうか。
そんなことを考えていた僕は突然僕の前からあらわれた男たちに気付かなかった。
その男たちの手には未来の銃とおぼしき物体が握られていた・・・