夕暮れを知らせるカラスの鳴き声と共に僕は公園のベンチから重い腰をあげた。
辺りはオレンジ色に染まり、夜の景色へと移り変わろうとしていた。
大学をサボりだしてどれぐらいがたつだろうか。学校に行くのが嫌になり、度々公園のベンチで一日を過ごしていた。
最近ベンチの座り心地にも些か嫌気がさしてきたがなかなかやめることが出来なかった。
「オレはリストラされたサラリーマンかっ(笑」
と自分で自分についついツッコミを入れてしまう毎日。
「重症だ…」
そんな事を思いながら僕は帰宅した。
「ただいま」
「陸、おかえり〜」
「お兄ちゃん、おかえり〜」
遠くの方から、母親と妹の声が返ってきた。
陸とは僕のこと…本名、立花 陸(タチバナ リク)
只今、公園にて登校拒否中で彼女がいない歴=年齢のダメダメ大学二年生である。
なぜ学校に行かないのかって?
一言で言えば…
自分の居場所がないからだよ☆
と…明るく言ってはみたが案外深刻だったりして(笑
ネガティブ思考の上、人見知りがひどく、人との関わりを極力避けてきた結果、大学では一人ぼっちという…何ともお粗末な話である。
高校時代までは良かった。クラスという枠におさめられていたため自分から積極的に話しかけなくても、やれ自己紹介だ、やれ合宿だ、部活動、体育祭、文化祭etc…と会話せざるおえない状況を作ってくれたおかげで友達もでき、学校生活を楽しく過ごせた。
けど…大学生活は違った。大学でのクラスなどあって無いようなもの、誰が同じクラスなのか教えてくれる隙さえ与えてはくれない。
同じ高校の友達も誰一人いず、大学という今までにない放任的な場所で僕は取り残されてしまったのだ。
僕は自分から話し掛けることが出来ず、なかなか友達を作ることができない一方で、周りではどんどんと友達の輪を広げているのが分かり、孤立していった。
そして次第に学校へ行くのが怠くなり、現在のありさま(笑
笑い事じゃないが笑えてくる(笑
こんな僕でも高校卒業時は彼女をつくってやると意気込んでいたはずなのに…(笑
それどころか友達すら…という…
「あぁ〜つまんない、明日も明後日も明々後日も公園生活かぁ…」
とぼやいていると電話がかかってきた。