気付けば、辺りには人の姿があまりなく、空は綺麗な紺色になっていた…
街頭のライトに照らしだされて、体が寒さを感じていた…
まだ彼は来ない…
私はベンチに腰掛けて、息を白くさせながら彼を待った…
何故だか分からないが、私の目からは涙がポロリ‥ポロリと流れてきた…
(‥何で涙が出るんだろう…私……何で……)
もう来ないと分かっていたのかもしれない…
でも彼を信じたい…
私の心の中で、色んな感情が交差していた…。
その時だった。
遠くの方で微かに声が聞こえた…
『うっわぁ〜!!やべぇ!!!もう帰っちゃったよなぁ…携帯壊れるし…はぁ…どうしよう…』
春野 逡は、後輩に泣き付かれて、課題を手伝わされていた…
そして、誤って後輩に携帯を壊されて…
気付けば、彼女との約束時間をかなり過ぎていた…。
春野 逡は、面倒見がよくて色んな人から好かれている。
でも、それが欠点でもあった…。
『ぁあ〜…約束してたのに…。まさか……居ないよなぁ〜…』
私は、誰かがベンチに近づいてきたのが分かった。
私は涙を拭いて、何も無かったのかのように、平然を装った…。
そして、私の隣に誰かが座った…