あまりの勢いに、受け身を取れずに背から落ちた。
警察が駆け付け、少女に声を掛ける。
むくりと身体を起こし、背を叩く。
「・・・邪魔」
刀を鞘に納め、地面に突き立てる。
男が宙から降ってきて、少女の姿を黙って見る。
鞘だけを残し、刀を抜く。
刀身を指先で撫で、口づけをした。
一瞬、風が吹き荒れた。
「・・・待っていたぜぇ!」
槍を肩に乗せ、笑う。
少女の周りに居た警察達の姿が消えていた。
公園にあった木やベンチなども消え、普通のさら地となっていた。
太陽も雲も月も存在しない、不自然な青い空が広がる。
その不思議な現象は男を喜ばせ、少女の戦意を奮い立たせる。
鞘を抜き、再び逆手で持つ。
「この世界は楽しいんだよな〜!」
槍で肩を叩く。
「・・・へぇ」
制服のリボンを解き、捨てるかのように投げた。
刀を鞘に戻し、再び抜いた。
すると、それは黒い大太刀へと変わっており、柄の肘には小さな鈴が付いた。
「それじゃあ・・・」
槍を両手で持ち、
「本気でいくぞ!!」
目の前を突いた。
柄が伸び、少女に向かって矛先が突進していく。
少女はそれを避けないどころか、大太刀を構えてもいなかった。
槍の矛先がすぐ近くまで差し掛かった時、指先を上に動かした。