「アイツは、良い奴だよ…後輩からも信頼されてる。成績もいいし…」
翌日の放課後、俺は、なぜかまた屋上に来ていた。沙恵の恋の手伝いをするために。
昨日は、帰ってからも沙恵の言葉が、頭をちらついて離れなかった。
そして気づいた…俺は、沙恵が好きなんだと…
「そっかぁ★クラスでも、そんな感じだもんね…!」
「おぅ」
彼女の恋を、踏みにじりたくなる気もした。俺がとんでもないことを言えば、沙恵は諦めるかもしれない。
だけど、それじゃダメなんだ…おまえの笑顔が好きなのだから…お前の笑顔が見れなくなるくらいだったら…俺の恋なんて実らなくて良い。
「翔ちゃん…私、なれるかな…緑川君の彼女…」
「………なれるさ。おまえなら。」
嘘ばっかり。俺だったら、いつだっておまえを笑顔にするぞ?おまえをこんな風に悩ませない。なのに…なのに…お前は…
「ありがと。翔ちゃんに言われると、なんか勇気沸いた。不思議だね…!本当にありがとう。いつか、お返しするね!」
「いぃって。お返しとか、そういうの。気にすんな。」
表で、必死で笑顔を作った。裏では、もどかしい気持ちが渦を巻いていたというのに…
ばれていないか?
俺がおまえのこと好きだって…
ばれていないか?