「よしっ!作ろ!」
材料を買い終えた私は、家に帰って早速作り始めた。
とりあえず、父と弟の分を用意して、三つ目にさしかかった。
「宍戸………」
一瞬、手が止まった。このまま、板チョコごと私が食べちゃおうかな…
「…………」
しばらく黙って考えたけど、やっぱり、伝えたいから…
今までで、一番集中して作った。
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翌日…
「おはよ、浅井!昨日はバッタリだったな…!」
「ね!ビックリだったね…!」
いつもと変わらない他愛もない会話。
ポケットには、ちゃんと宍戸のためのチョコが用意してあるのに…
「あの…さ…」
「ん…?」
「放課後、いい?……体育館裏…」
「……?あぁ…」
不思議そうに私を見つめながら、承諾してくれた。
私は、自分の顔が次第に赤く染まっていくのがわかった。
それを悟られないように、あわてて席に着いた。
宍戸の視線が、やけに恥ずかしかった。
だけど、もう後戻りはできない……