『あの…もしよかったら、私の携帯使いませんか?』
私は自分のバッグから携帯を取り出した。
『…ぇっ?!いいんですか………?』
彼は私の方を見た…
その時だった。
彼の顔が月明かりに照らされて、驚いた顔で私を見ている…。
『…あっ!!!!』
彼は口が開いたまま…
『あっ…!!!!』
私も口が開いたまま…
この時に、やっとお互いに気付いた…。
『ごっ、ごめんっ!!!!俺、約束破った…ホントにごめんっ!!!!!!』
彼はベンチから降りて、土下座して誤ってきた…。
『ぁっ!…ぃぃの!ぃぃの!!…私もさっき来たんだよね〜…笑!!だから、顔上げて?』
私は突然の事で、すぐにバレそうな嘘を付いてしまった…。
私は彼の顔を見れなかった…。
ずっと待ってた…
ホントは、淋しくて、悲しくて…
でも、彼の顔を見ると、ずっと待ってた時間が、10分や5分…もっと短く感じてしまった…
私は彼の事が本当に好きなんだと思った…。
もう来ないと思った…。
このまま…
私が俯いていると、彼は、私を抱き締めてきた…。
温かい彼の腕が、私の冷えきった体を癒してくれる…
『本当にごめんね…。ずっと待っててくれたんだよね?…ありがとう…。』
私は心臓が爆発するかと思った…。
『俺、あの時から…ずっとずっと好きだった。
だから、また出会えて……本当に夢かと思った…。
俺、このチャンスは逃したくない…
俺、君の事が好きだ…。
もう…離したくない…。』
私を抱く彼の腕は、ギュッと力が入った…。
『…ありがとう……私も…好き…………』
私は涙が止まらなかった…
こんなに人を心から好きになったのは初めて…
そして…
彼は、私にキスをした…。
彼の爽やかな香りがいっぱいに広がった…。