「お、俺っすか?!」
東谷学園側ベンチで明石はそう驚いた。
それもそのはず、明石は小学校はおろか、中学生の時も野球部やリトルリーグに入っておらず、野球に関しては全くのど素人だった。しかし古谷はそれも気にせず
「たがキャッチ程度は出来るだろ?」
「え、ええ、まあ・・・」
「よし、じゃあ決まりだ。」
「・・・」
古谷の狙いはこうだった。
(守備連携が悪ければ好プレーもエラーに繋がってしまう事もある。ここはあえて素人の明石を投入する事でより正確なフィールディングを目指す事が出来る。)
その狙いは的中した。
東谷学園は七回、八回と共にノーヒットノーエラーに抑える事が出来た。
そして九回の表、東谷学園の攻撃、バッターはラストバッターの明石。
明石は緊張した体で右打席に入った。
しかし相手の女監督、水谷監督がいきなり投手交代を告げた。
「投手交代!黒木君に代わって赤池君!」