「寒い……」
授業を終えた俺は、家路を急いだ。学校をでた瞬間、白銀の世界が待っていたからだ。
雪は、止むことを知らずに降り続けて、俺の体温を下げていった。
そんな最中…
「ん………?」
いつも通りかかる公園に、見覚えのある女子がいた。
思わず足を止める俺。
「広瀬……?」
クラスメイトの広瀬麻琴だった。今まで、少ししかはなしたことがないが、他人というわけではない。
俺は、広瀬に歩み寄った。
「広瀬……!」
「あっ、柚木くん!」
明るく迎えてくれたことに、うれしさを覚えたり…
「何してんの?こんな寒いのに…」
「初雪でしょ?なんか見とれちゃって…」
エヘヘと照れながら笑う広瀬が、可愛いと思った。
思えば、美女とは言えないが、可愛くて素直な広瀬は、男子の間でも人気があった。
「そっか…★けど、ひとりで?」
「うん…こっちの方向って、誰もいないんだよね…」
「確かに!俺と広瀬くらいだよな…」
「ねぇー…!」
しばらく会話を交わしたあと、俺たちは降りしきる雪を眺めていた。
黙って見つめていた雪は、美しくてキレイで…
会話がなくても、なんだか好きな時間だった…