ジェットコースター乗り場には意外と人が少なく、すぐに乗れそうだった。キャーキャーと歓声とも悲鳴とも聞こえる声が響いている。
「あ、ジェットコースターなんて乗ったらまた酔っちゃうかな?」
今更気づいたのか…?もちろん口には出さない。
「あー、多分大丈夫。ジェットコースターで目ぇ回すとか聞いたことないし」
「ホント?良かったァ。ウチ遊園地久しぶりだから乗りたかったんだよねェ」
ここで酔うことより重大な問題に気づいた。ジェットコースターに残ったことのないオレはビビらずにいられるだろうか?無情にも順番がきた。
「楽しみ〜!ね!」
「ん、ああ…」
「あ、実はビビってる?」
ギクッ!痛いところをつかれた。
「んなわけねぇだろ」
精一杯の意地をはった。ええい、もうどうとでもなれ!オレでも好きな人の前でカッコつけるくらいできるだろ!自分に言い聞かせた…。