佐藤は全く動かず、気を失っていた。
「佐藤!おいっ!!」
天狐じいが佐藤に近付き、呼び掛けた。
返事は無い。
「中々の天上使だった、わしも左腕をやられたが、何とか倒せた。」
大天狗がずんずんと歩いてきた。
左腕が無かった。
「ん?青行灯がいないぞ?遅いな。」
天狐じいはこれからどうするかを考えていた。
自分が大天狗の相手をするのか?
真奈を護れるか?
「まあいい、さあ天狐よその娘をよこせ。」
天狐じいが恐怖で固まっていると、
「ダーメだよ、そいつは俺の助手なんだから。」
天狐じいの隣で倒れていた佐藤が脳天気な声で言った。
「お、お前まだ生きていたのか!!」
「そりゃあ人形は死なないよ。」
ドスッ!!!
もう一人の佐藤が大天狗の背中から岩の刃で大天狗の体を貫き言った。
「お前、イタチだろ?大天狗の真似するんならそんな低い鼻してんじゃねーよ」
さらに佐藤は岩の刃に力を送った。岩の刃が形を変え、大天狗の体を岩が包み、岩から頭だけが出ているという状態にした。
「大天狗に化けたイタチ、イタチの家来の馬鹿な青行灯をあの世にご招待〜」