ゲンガー

FREE.  2008-02-11投稿
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その日、突如現れた黒服の男は俺に告げた

「今のお前はお前ではない、生と死の狭間。求めるなら向こうへ行き取り戻せ、奴は待ってくれない」

そう言い残し男は姿を消した…

あの男の言う事が理解できない

しかし、おかしいと言えばそんな気もする

確かに生きている実感がないのだ……しかし死んでいるという感覚もない

感覚?…死んだ感覚って何だ?

死んだら感覚なんてものはないはずだ

やっぱり俺はあの男の言う通り……


試験勉強と日々の努力が実りなんとか春香と同じ高校に入れた

「修次!おはよう」

「あぁ、おはよう」

「それにしても、あの修次がこの高校に入れるなんてね」

「あの修次ってなんだよ」

「でもよかった…また一緒にいられる」

「あぁ、そうだな」

俺、里内修次。彼女の麻倉春香と同じ明大附属高校を志望校としていたが親には無理だと豪語されていた

春香は成績優秀でもっと上を狙えるほどだが俺のために無理をしてくれた

彼女はとても一途で容姿も抜群、家庭的で料理上手

「えっと……おっ!やったね修次、クラスも一緒だよ」

「悪いな春香…俺のために」

「それは言わない約束でしょ」

「あぁ、ごめん」

春香は微笑みながら教室に走っていった

教室の席に着くと俺の隣の眼鏡を掛けたいかにも秀才って感じの男が話しかけてきた

「君、どこの中学?この高校じゃあまり見ない風貌だけど」

「浅岸中学だけど……まぁ結構苦労して入ったくらいだから」

「ここじゃないといけない理由でも?」

「あぁ……彼女がね」

「ふぅーん、そういう事か。僕、石山圭よろしく」

始業式が終わり春香と俺は一緒に下校した

「どう、友達できた?」

「あぁ…まあね」

「そっか、よかった!修次は内気だから心配だったよ」

「じゃあ、あたし塾だから急ぐね。また明日」

「おう、また明日」

「ん?」

「死ぬぞ」

「あ、あんた!今度は何の用だ」

あの時の黒服の男が現れた

「彼女、死ぬぞ」

「なっ…何!?どういうことだ」

「公園へ来い、お前はもうこの世界に居られぬ」

「あ?さっきから何言っている」

「待て!」



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