『40代でもいいですか?』
それが彼女からの初めてのメールだった。
―僕は今25歳―\r
まだまだ寝苦しい熱帯夜続く8月、携帯にメールが届いた。
送り主に心当たりは無い。
それもそのはず、所謂『出会い系』という奴だ。
内容は、『40代でもいいですか?』と書いてあった。
見ると45歳の主婦とある。
その頃、僕は自暴自棄になっていた。
付き合っていた彼女を膠原病で亡くしたのだ。
しかもその頃に浮気をしており、彼女の最後の時にもそばにいてやれなかった。
それから仕事に打ち込み、毎日20時間以上働いた。
全てを忘れたかったのかもしれない。
人の温もりが欲しかったのかもしれない。
僕はすぐにそのメールに返事を出し、40代の彼女とのメールが始まった。
最初はお互いの事を話した。
歳の事、何処に住んでいる、何が好きで嫌いとか、まぁ、よくある他愛ないの内容だった。
そこで解ったのは彼女が主婦で旦那とはもう長い間会話も無く、家では息が詰まる生活を送っているという事。
何日か経って僕は彼女に電話した。
思っていたよりは声には張りがあり、とてもそんな家庭環境にあるとは思えなかった。
僕達は会う約束をした。