馬鹿にして言ったのか、呆れて言ったのかは上司の無表情からは読みとれない。
『あと、ついでに油も注しておいてくれ。』
そう言うと上司はノブオに近寄り、自分の頭を開け
『右の三番目の部品だ。わかるか?』
とノブオに聞く。
『大丈夫です。』と答えると部品を交換し油を注した。
『本当に、お前の代わりの人間はいくらでもいるんだからな。それをよく肝に命じておけよ!』と頭を閉めながら言った。
少子化の影響でロボットが社会で働くようになって50年、今では社会全体の80%がロボット社員になっている。
少子化が解消されつつある今もそれは変わらない。
ノブオは、親父から聞いた『通勤ラッシュ』が無いだけましなのかな?、と思いながら今日も電車に揺られている。