(前方20?、地球…日本軍機動艦隊1。既知の艦…のようです)
(カリプソの進路…バレていたようですね)
「トーキョーの亡霊(ゴースト)め、瓦礫の中から蘇ったか。日本軍…精強との噂は本当だったな」
(しかし、わかりません。何故補給艦一隻を守るのにこれだけの部隊を…本部は何を考えているのでしょう。今、大規模な部隊の移動を悟られたらナリタの日本軍に隙を見せてしまうことに……)
「desperate…」
(え?)
「絶望が乗っているのだよ。あの艦にはな」
意味を計りかねたのか、部下の少尉は黙ってしまった。
知らぬ方がよい。
ハーケン・クロイツ中佐は呟いた。
高感度マイクがその声を拾わないはずは無かったが、少尉は深追いしなかった。desperate…。そんな物を聞いてその意味を知りたがる奴等いない。
誰もが本能的にわかる。
奴との関係は不幸を呼ぶ事を。
すると、「絶望」を助けに行く自分達がひどく滑稽に見えてくる。
「既知といったな」
(はい。どうやらトーキョー攻撃の際の討ち漏らしのようですね)
「ハッ!運がいい。単独で我が主力艦隊を相手に、見事逃げおおせて見せた……飛鷹(トビタカ)…面白い」