いよいよ決行の日が明後日に迫っていた。
ヒロシはこれまでの計画の為に費やした労力を思いだし、絶対に成功すると確信していた。
必要な物は全て揃った。
外国にまで行きブツを購入した。
計画実行の際の服装もばっちりだ。
ついつい顔がニヤついてくる。
『まだ安心するのは早い。何が起こるかわからないんだから。』
自分に言い聞かせる。
ターゲットの事は良く知っている。
仕事から何時に帰ってくるのか。
それは毎日同じ時間だ。
きっと明後日も同じだろう。
実行前日。
ヒロシは胸が高鳴るの感じていた。
この計画を知った時、ターゲットはどんな顔をするだろう。
きっと驚き、泣き叫ぶかもしれない。
それを考えると楽しくて堪らなくなってくる。
実行当日。
ヒロシはターゲットの部屋に潜んでいた。
息を殺し、ターゲットの戻りを待っていた。
ガチャ。
扉の開く音がした。
ヒロシは気付かれないように背後に忍び寄り…。
パーンッ
乾いた音が響いた。
『ビックリしたぁ〜。ヒロシじゃない!』
そこには黒のスーツ姿でクラッカーを持ったヒロシがいた。
足元にはフランスのブランド物の紙袋。
『誕生日、おめでとう!』