『人を好きになれば辛くて、苦しい気持ちは付き物だ。
始めから誰も傷つける事も無く、相思相愛でハッピーエンドなんて、ほんの一握りの恋だと俺は思うね。
だけど、だからと言って自分の気持ちを偽る事は、更に誰かを深く傷つける事になる。
だから俺は、いつでも自分の気持ちに正直でいたい。
イジメも同じだ。
今回秋田谷は、自分の自己中心的な考えにより、奈央が苛められる様に仕向けたが、その時に、オマエらの中に、罪悪感や正義感など、
色々な感情が湧いて来たと思う。
聞かせてもらうが、その感情に正直に行動出来たヤツはいるか?!』
シ―――ーー‐ン。
聖人の問いに、答える者は誰も居なかったー。
『‥だよな?!言いたい事も言えねえ、こんな時代に生まれて来た俺達は、昔の時代に生まれて来た“キタネェ大人達”と比べても、必ずしも幸せとは言えねえよな。』
そう言って聖人は笑ったー。
その笑いは決してクラスメイト達に向けられたものではなくー
その視線はー
どこか悲しげなー
遠くを見ていた様なー
『流されんな!!
惑わされるな!!
自分をしっかり持て!!
言っておくが、今回の奈央へのイジメは、秋田谷一人が悪い訳ではねぇぜ!!
此処にいる、1ー3の
クラス全員がイジメの当事者だ!!
だから俺は、秋田谷だけを責める気はねぇ!!
テメェら全員反省しろよ!!
そして二度と、こんな卑怯なやり方はするな!!
やるなら正々堂々とやれ!!
わかったな!!』
聖人の言葉にー
クラスメイトの誰もが耳を傾けていたー。
さっきからずっと涙でボロボロのユカもー
机の下で小さくなっているサチヨもー
そして、タツヤも‥‥‥。
ねぇ聖人ー
あたしねー
益々あなたの事が好きになりそうですー
あたしの胸の鼓動ー
聞こえますか?‥‥