夢、と言っても。
変に現実味があるから、そう感じるには少し抵抗がある。この夢をみたあとは脳が上手く働かなくて困る。
「───‥樹くん、松樹くん?」
「…?ぁ、咲宮さん。なに…?」
授業中だから、だろうか。極力小さな声で俺の名前を呼んでいたみたい。
さっきからずっと呼んでたのに…と聞いて、自分がどれだけボーっとしていたのか知らされる。
彼女はクラスメイトの“咲宮 桃(さくのみや もも)”。
最近は席も近くて、たまに話したりする。──まあ、ほぼ彼女から無理矢理だけど。
「で、なに?」
もう一度問掛けた。
「今日委員会、一緒に行かない?」
「……………。」
忘れてた。
あー、もう。
今日は委員会活動があったんだ…。今学期、保健委員に推選で選ばれてしまった。
各クラスから、男子一人に女子一人。
もう、最悪な気分。
「松樹くん?」
「───…。うん、いいよ・・・・・」
「ほんと!?やった!じゃ、掃除終わったら一緒に行こうね!」
やけにハイなんだよね。俺はこんなにローなのに…。
だってさ、委員会には嫌な先輩が居るし。
あんま行きたくない。
前はサボれたけど、今日はそんな訳にはいかないよね……