「なぁ、雅弥…ぁたし、柔道やめよっかな…」
「………は?」
ある日の部活後。私は、無意識なうちに、雅弥に切り出していた。
「何言ってんだよ、優。今更やめるなんてさ…本気か?って言うか…なんでだよ…?」
「だって…強い女はダメなんだよ…私、大会でもたいして活躍してないし…この際、かよわい乙女になろっかなって…☆」
ガシッ………!
雅弥は、私の肩をつかんで、諭すように言った。
「どうして……?」
「あのっ…言われたのよ…!好きだった人に…かわいい女がいいって…かよわくなくちゃ!やっぱり女は…」
嘘だった。全部、雅弥に好きになってもらうための嘘…
「そいつのために、今までのこと全部無駄にするのか…?」
「それは………」
「だったら、そんな奴やめちまえよ…」
雅弥の目は思っていた以上に真剣で、私の方が圧倒されてしまった。
「雅弥………」
次に雅弥が発した言葉は、私の心を強く揺るがすものと変わった。
「だったら、俺とつき合えよ」