三、これからの事について
恐怖は何者よりも強い 。
未だに肩で息をしている僕の背中をミラさんはさすってくれた。彼女の顔はきっと一生涯忘れる事は無いだろう。何故なら彼女は間接的に僕に銃弾を命中させたからだ。
何故彼女が?、と聞く前に彼女は質問に答えた。彼女の顔はとても整っていて肌は透き通るように美しい。その肌のように僕の心を見透かしたような印象を受けるやり取りだった。
理由というのは、今日の一件でアレに顔をきっと覚えられたであろう僕の、監視及び護衛のためである、と話してくれたのだが保護しないのは僕を囮に使うためだろう。
そしてもう一つミラ巡査は話してくれた。僕がこれから何をするのかを。
できるだけ僕は普通の生活をおくり、事件が終わるまでは警察の監視下に置かれるらしい。まだ呼吸が少し荒れている中、家路に護衛されながら付き無事に帰宅できた。
僕の家はアパートなので巡査は向かいのホテルに泊まる事になった。お休みと一言言うと彼女はホテルに向かって歩いていった。まだ事件が未解決だというのに気持ち悪いほど落ち着いている自分が怖かった。
一杯の水を飲み干すとベッドに入る。脳裏にはアレの姿が浮かんでくる。目を瞑ると疲労と恐怖で深い闇に引きずりこまれていく。目覚めが来なくてもいいなと思ってしまう。ほどなく僕は深い眠りについた。