「いッ!?」
目の前をミサイルが横切る。
(し、死にかけた!!)
もう3回程死に損ねている。大した戦闘でもないのにこの体たらく。先が思いやられる……。
アント級は既に満身創痍と言える。あちこちにダメージを受け、エンジンには致命傷となりうる深刻な傷を負っている。
撃沈は時間の問題。
本当にただ骨が無い奴なのでは?と思っているのは自分だけではあるまい。
しかし、相変わらずアント級は北上を続ける。
何かに…
(取り憑かれてるみたいだな……)
誰かが呟いた。
まさにそれ。
だが執念が報われてか、いつの間にかアント級は月軍制空権まで5?の地点にたどり着いている。
「マジで逃げ切られる!!」
(ケリをつけるぞ!全機続け!!)
狩野が叫ぶ。散開していた10機が集まり、突撃を敢行した。
空中で変形し、人間型で銃を構えた。
(各機射ッ………ッ!?)
突如無数の光が降り注ぎ、ハルの隣にいた8号機、山内曹長の零が爆炎に包まれた。
「!!!!!」
そのまま8号機はくるくると回りながら地上へと落下していった。
(月軍だ!!)
誰かが悲鳴を上げたのがハルにはわかった。