「うごかねぇな…ゴンドラ…しかも、寒くなってきたし…」
「ねぇ〜…寒い…」
太陽は沈み、夜になり、温度も低くなっていった。
「おぃ、こっち来い」
ぐぃっ……
「きゃあ!」
…友が、私を抱きしめて、暖めてくれた。
「温かい?」
「う、うん………」
やめてよ…だって、もうきっと私たち二度とあえないでしょ?忘れられない夜になったら…好きになったら…だめ…
ピー――………
無機質な音が、響き、ついにゴンドラが動く。アナウンスがうるさいくらいに流れていた。
心は裏腹で、喜んでいない自分もいるみたいで。
なぜか、わからなくなっていた。
「よしっ!やっと動き出した…」
「………………」
顔は笑顔を作ることに必死だった。内心、思いが一度にあふれ出しそうで、怖くなっていた。
残酷なことに、ゴンドラは地上へ、動き出した。地が見える…近づいてる…
「さっ、降りるぞ…」
友は立ち上がって、安心したように笑っていた。
だけど、私には立ち上がる気力がなかった。体中が、友との別れを拒んでいるんだ………
「………どした?美沙………?」
「いやだなぁ…なんか…お別れ…もぅ会えないんだよね?」
「美沙…………」
「ごめっ…私……」
涙をこらえることしかできなかった。
ただ…ただ…