「奈美――…!」
「あ!香奈恵…!どうだった…?」
「ふふ…☆付き合ってくれるって!」
「やったじゃん☆おめでとう!!」
あぁ…失恋…
好きだったのになぁ、杉本君のこと。
また何かする前から、振られちゃったよ…
「奈美もいないの?気になる人☆いつでも相談してね…!」
「もちろん!ありがと☆」
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「はぁ―…言えるわけないっつーの…」
ここは放課後の教室。誰も残っていなくて、私ひとりが、机に突っ伏していた。
「好きです…杉本君…」
誰にも聞こえないような、小さくはかない声で、言ってみたけど、無惨にも消えていった。
ガラッ……
「!?」
「…川崎…!」
「佐伯君……!」
思わず突っ伏していた顔を上げて、姿勢を正した。
佐伯君…いつも無口で、頭よくて…今まであんまり話したことないけど…
「佐伯君…どうしたの…?」
「あぁ…これを先生に頼まれてな…」
そう言って、佐伯君は大量の資料のようなものを机の上に置いた。どうやら、手にホッチキスを持っているため、綴じ込みを頼まれたみたいだ。
「うわっ…大変だね…」
「仕方ないさ…」
………………
しばらく考えた後に、私は決めた。
「手伝うよ…!」
「いいのか?そろそろ下校時刻だぞ?」
「いぃの。手伝いたい。ダメ……?」
「………?いや、助かる…」
教室の中で、二人で作業をはじめた。