あたしが気付いた時には、もう遅かったのかもしれない。 これが恋だと知った時には、神サマはあたしに、どうしてもっと早く気付かないんだ!って、怒ってたかもしれない。
君の中で、あたしは何?どんな存在?
聞きたいこと、いっぱいあるんだよ。
あたしは、今でも…。
●動き出す物語
中学生。そんな響きがどこか嬉しくて、制服を着た自分を鏡で見ると、にやけてしまう。
今日は、中学校の入学式。あたしがこの一週間、1番楽しみにしていた行事。
「ちょっと!光月姫、まだいたの?早く学校に行かないと入学式でしょ!」
奏里 光月姫(かなざとみつき)。あたしの名前。
お母さんに促されながら、あたしは急いで荷物をまとめると、勢いよく家を飛び出した。
商店街を抜け、横断歩道を渡り、ギリギリ学校に着いた。
「わぁ…。」
中学校は、そこら中に咲きほこった桜の花ビラでピンク色にかすんで見える。
「今日から、ここで…。」
新しい生活が始まるんだ。
あたしは、そのまま校舎を見つめていた。すると、後ろから突然声がした。
「あれ?その髪型は、光月姫じゃなーい?」
この明るい声は…間違いない。あたしの親友、春日紀梨(かすがきり)だ。
「紀梨!久しぶり!卒業式以来だよね?」
あたしと紀梨の家は、かなり離れていて滅多には遊べない。
「そーだねぇ。ま、また仲良くいこう!」
「うん!」
四月の風が、あたし達を包んだ。
本当に嬉しさでいっぱいだ。
何て言ったらいいんだろう?
シアワセ?
うん、あたしは本当に幸せ。
きっと。
クラス割を見ると、あたしと紀梨は同じクラスだった。
二人でハイタッチをして、笑いあった。
一年四組。一年生だけでも六組ある。
すごいな。
教室は、もう約半分が人で埋まっている。
「机は適当に座って下さいだって。あの黒板の字、本当に先生のだよね?ま、いっか。光月姫、そこに座ろう?」
「ねぇ紀梨、あの子すっごい美人だと思わない?」
どれどれ?って探す紀梨はかなりはしゃいでいる。
あたしが指を向けた女の子は、家から持ってきたのか、本を読んでいる。
「わ、マジ?かわいいわ、あれ。」
「でしょ?いるんだねぇ、あんな人。」
名前何て言うんだろう?なんて思っていると、先生が教室に入って来た。
「初めまして。みなさん。時間に