「何かあった…?」
沈黙の中に響いた言葉。私は、佐伯君の胸の中で、涙とともに話した。
「ずっと前から、思ってた人がいたんだぁ…ずっと前からだよ…?
きっと、誰より前だと思う…だけど、私なんにもしてないんだぁ…できなかった…だから…とられちゃったよぉ…」
「………そっか……」
佐伯君が私を抱きしめる力が強まった。
私は、そこで我に返った。
「ごめんね…?佐伯君にまで迷惑かけちゃって…ごめん…」
「いぃんじゃない?失恋した時くらい、迷惑かけても…」
「ありがとう…!」
彼の笑顔が、優しくて、愛しく思えたのは、私の心が傷ついていたから…?
「じゃあ、続きするか…!………できるか?」
「クスっ…うん…!やろう!」
その後のとじこみは、スムーズに終わった。佐伯君が、さりげなくリードしてくれていた。
やっと、すべてのとじ込みがおわった。
「やっと終わったねぇ…!」
私は、達成感に満ちた顔でこう言った。
「あぁ、手伝ってくれてありがとう。」
失恋は痛いものだ…痛くて痛くて、涙も言葉も、残酷なものに変わっていく。
乗り越えるのには、たくさんのものが必要で…
「ねぇ…佐伯君…」
「………なんだ?」
だけど…
「一緒に帰っても良い…?」
ここにも新しい恋がまた一つ…