男「お互いまったくときめかないんだから、仕方ないじゃないですか」
男は、バーリアの横で本をめくりながら答えた。
彼の名前はノール。このお話のもう一人の主人公。
ノルウェージャン・フォレスト・キャットという猫との人獣で、バーリア姫の教育係をしている。30才。
彼は、傭兵隊長も任されていて、この国で最も優秀な人物。
頭もよくて、強くて、ルックスだってそれなりにいいのに、なぜか教育係に任命されてから5年…一度もバーリアにときめいたことがありませんでした。
お互い様なはずなのにバーリアは頬杖をついて、ぷぅっと膨れっ面になった。
バーリア「あなたが何もしてこないからよ、きっと!!」
ノール「では、キスでもいたしましょうか?初めてをいただいて、よろしいなら。」
いじわるな笑みを浮かべてノールはバーリアをのぞきこんだ。
バーリア「遠慮しておくわ。噂によると、あなたはお城の外で女性をとっかえひっかえしているらしいから。」
かなり正確な情報をつかまれていたノールは、ため息をつきながら噂の真相を話し出した。
ノール「人聞き悪いですねぇ…。誰とも付き合う気になれないだけですよ。男ならたまには発散も必要ですしね。」
バーリアは、発散の意味がわかって顔を赤らめた。