記憶?

なお  2008-02-15投稿
閲覧数[145] 良い投票[0] 悪い投票[0]

目覚めると僕は病室のベッドの上にいた。心配そうに見つめる両親。
「なんで僕…、ここにいんの?」
「事故にあったのよ。頭を強く打ってね…。目をなかなか覚まさないから心配したのよ。」
「そうなんだ…。あ、今日何日?卒論の締め切りが近いんだよ。やばいって。」
怪訝な表情を浮かべる両親。
「何言ってるの?大学なんて3年も前に卒業してるじゃないの。」
僕は困惑した。医者の話ではどうやら僕は事故のショックで約3年間の記憶をなくしていたのだ。僕は25歳の社会人になっていて、兄貴は結婚をしていた。
そして…事故で僕をかばって車椅子生活を余儀なくされていた。
兄貴は僕のせいで足が動かないのに、優しく僕に声をかけてくれた。
「俺の事は気にすんなよ。仕事だって物書きなんだから関係ないし。それより不安だよな。記憶…。訳分かんなくてさ。」
罪悪感と記憶がない戸惑いの中でかけられた兄貴の言葉は少しだけ僕の心を和らげた。そう、兄貴は僕の記憶から3年たった今でも何一つ変わらない優しさを持っていたからだ。
その時、病室の扉が開いた。
「誰?」
少し悲しそうな表情をした彼女は、兄貴の奥さんで百合子さんという人だった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 なお 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ