サクラ (第2話)

 2008-02-15投稿
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ここへ来てから何時間経っただろう…

11年前…
『誠さん!…誠さん』
『ん…?』
『誠さんいつの間にか寝てるんだもん』
『ごめん。気持ち良くて気が付いたら寝てた』
サァー、サァー…
『本当に、ここの桜は綺麗だよな。』
『そうだね、今年も満開だしね!毎年、この桜の木に誠さんと一緒に見に来れた事を祝福されてるみたいだよ』
『だな、来年も一緒に来ような。そろそろ帰ろうか?』
『うん。美味しいもの食べ行こう!』
『はいはい』
数日後…
『蓮実、仕度出来た?』
『お母さん、ちょっと待ってー!お待たせ』
『蓮実は、のんびり屋さんなんだから。』
『誠さんにメール打ってたの』
ピリリリ…
『蓮実からメールだ。(頑張って来るね!)そうか、今日は検診の日だっけ』

蓮実は、生れつき心臓に病を抱えていて年に一度、検診を受けている。
検診の日は、必ず(頑張って来る)の一言をメールで送って来るのだ。
結果が何とも無いようにって願掛けらしい。

『葛城 蓮実さーん。第2診察室まで、お越し下さーい』
『呼ばれちゃった…』
『大丈夫よ、今年も何とも無いから行ってらっしゃい。』
『うん…行って来る…』
数十分後
『お母さん、ちょっと宜しいですか?高木先生がお呼びです』
『はい』
コンコンッ
『どうぞ』
『先生、葛城さんをお連れしました』
『失礼します。先生、何でしょうか?』
『お母さんどうぞ、おかけ下さい』
『先生、蓮実に何か異常でも?!』
『…蓮実さんの心臓の機能が急激に低下してまして…』
『…あの子は、どうなるんですか?』
『ハッキリした事は言えませんが、今のスピードで心機能が低下し続ければ、半年後には完全に心機能は停止するかと…』
『そんな…ここ数年の検査では何とも無かったのに…どうして……蓮実には、この事を話しましたか?』
『いえ、まだ話していません』
『蓮実には話さないで下さい。あの子は、私を気遣って病気の事なんて気にしてない風に舞ってはいるけど…』
『わかってます。蓮実さんは優しい子ですからね。でも、状態が状態なだけに検診へは毎月来て頂かないと…』
『あの子には、私から上手く話します』
『わかりました』
『先生、失礼します』
カチャン

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