?話 豪邸
一日中異常な数のダンボール箱を片付けていたバドはやっと最後の家具を置き終わり、とびっきりビターなコーヒーで一息いれていた。
彼はここ、モカ公国南部の街、ルガシティに引っ越して来たばかりの大学生で大学が近いことから、亡くなった祖父母の豪邸に一人でやってきたのだ。
呼び鈴がなった。
すがすがしく晴れ渡り、忙しい
4月の日曜日にいったい誰だろうか。
バドは飲みかけの、コーヒーが入った大きめのマグカップをアンティークな机に置き、よっこらと椅子から立ち上がった。
「はーい、どなたですか?」
ドアごしの未確認人物に問い掛けてみる。
「はじめまして、隣りの者です」若い女性の声。
何故かバドはガッツポーズをしてドアを開けた。
ドアの向こうには大学生ぐらいの可愛い子猫ちゃんが照れ臭そうに立っていた。