愛しいひと

もね  2008-02-16投稿
閲覧数[287] 良い投票[0] 悪い投票[0]

あの人は小さい私に
訛のある優しい言葉で
不器用に頭を撫でた
私は小さな恋人みたいに
どこにでも遊びに行った
あの人の私を見る目は
どこまでも優しかった
でもある日あの人は
寂しそうな目をして微笑んだ
不思議な程おどけて見せた
それがあの人を見た
最後の日だった
なぜ私は子供だったの
なぜ助けてあげられなかったの
なぜ独りで行ってしまったの
どうして孤独だなんて
思ってしまったの

あれから随分時が経って
あなたを好きになった
何も気付かなかったけど
今思い出したの
あなたの目はあの人に似ている
いじけて怒った目
愛しく私を見つめてくれる目
そして時々
寂しい目をする
あなたも私に
訛のある優しい言葉で
不器用に語りかける
失ってしまいそうで
時々怖くなる
あなたがつらい時
私が救いたい
私はあの日の
幼子じゃない
何も言わずに
私を残して行かないで
ぎゅっとあなたに掴まる
あなたが消えてしまわぬ様に


i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 もね 」さんの小説

もっと見る

詩・短歌・俳句の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ