【3回表】
2回裏三者凡退で抑えて俺達は3回の攻撃に入った。
曽我端さんがベンチに集まったナインに檄を飛ばした。
曽我端『いいか?お前ら!守備でいい流れもってきたからこの回一気に逆転するぞ!!』
全員『はいっ!!』
マウンド上には変わらず2年の矢沢。
この回先頭は2番のユウ君。
小柄なユウ君に対して捕手、雪村が
『外野〜!前だ!』
と前進シフトをとった。
確かにユウ君には妥当な策だろう…
主審『プレイ!』
矢沢がユウ君に対して1球目を放った。
『ボール!!』
カーブが低めに外れる。
続く2球目、3球目も変化球だったが、ストライクが入らない。
カウント0-3。
雪村『矢沢〜!落ち着け!しっかり入れてこい!』
次の球は外に決まったが、小柄なユウ君にはストライクが入りずらいようだった。
カウントは1-3となってユウ君に対しての5球目。
ユウ君(ここだな…)
ビュン!!
カキーン!!
緩い変化球をレフトライン際に引っ張った。
サード近藤が飛び込む!しかし打球はその横を抜けていった!
三塁塁審が
『フェア!!』
と叫んだ。
レフト市川が前進していた為、打球に追いつくのが遅れる。
ユウ君が1塁を蹴る。
市川がようやく追いついた。
ユウ君は2塁でストップ。
ユウ君(やった!前進守備を抜いた!)
小柄なユウ君にしては珍しい長打だった!
俺達のベンチは沸いた!!
アキ『いいぞ!ユウ君!』
カズマ『ナイバッティン!!』
これでノーアウト2塁。
雪村(前進守備が仇になったか…くそっ!)
捕手雪村は焦っていた…安全パイと思っていた2番白石に予想外の長打を浴びてしまったからだ…
そしてマウンド上の矢沢はもっと焦っていた…
打席には3番、滝本龍夜が入ろうとしていた…