「ん〜いつ見ても君は良いねぇ」
海の近くの公園に一組の男女、あたりに明かりは無くこのカップル以外に人影は無い。
「えー何が良いのぉ?どのへんが良い?」
「んー…おいしそうなところかな?」
男は女の頬に触れた。
「おいしそう?なんかエロいよそれー」
そう言いながらも顔を赤らめる女。
男は女の唇に触れるとゆっくりと顔を近づける。
女もゆっくりと目をつぶった。
唇に感じる温かい感触…
ブチッ
「えっ…」
温かい?違う、熱い。ビリビリ痺れた感じ、なんか…痛い…
「うん、やっぱりおいしい。君の唇は」
クチャクチャ
男はガムを噛むように口を動かしている。
「…あ、ああぁぁ…あぁ…」
下唇を食いちぎられた女は痛さと恐怖のあまり言葉を発することが出来ない。
女は腰を抜かし四つん這いになりながらも必死に逃げようとした。
グチャ
「ん〜ふくらはぎも、プニプニしてておいしい」
女と同じ四つん這いの男はふくらはぎをおいしそうにほおばると嬉しそうに微笑んだ。
「あ、あぁ…いやあぁぁああああぁぁ!!!!!!!!!!!!」
「朝倉さん!また被害者です!」
深野の大声で昼寝を邪魔された朝倉はあくびをしながら背伸びした。
「また『黒ウサギ』か?それとも『人食い男』?」
「『人食い男』ですよ!所々食いちぎった後はありますが今度は小腸がごっそり無くなっています!」
「タン(舌)の次は小腸か。まったく…牛食ってろっつう話しだよ」
『人食い男』のターゲットは女か子供、その場で食い尽くすのか持ち帰っているのか必ずどこかの部位がきれいに無くなっている。
「やっぱあいつらに協力してもらうしかねぇな」
「え?どういう事ですか?」
深野は警察と言ってもまだまだ新人だ。知らないことは山ほどある。
「どうって…目には目を化け物には化け物をってことだ」
「化け物って…ちょっと大げさじゃないすか?」
「……」
「…朝倉さん…?」
「…深野、よく覚えとけ。警察は時には化け物を相手にしなきゃいけない…。まぁ、とりあえず早死にするなよ」
朝倉はタバコに火をつけると席を立った。
「あの!あいつらって誰ですか!?」
「高校生のガキ2人組」
「高校生…?」
「お前そいつらに連絡しといてくれ」
そう言い残すと朝倉は去っていった。