真っ暗な学校の中。
月明りの差し込む夜の理科室、これほど恐ろしいシチュエーションが他にあっただろうか?
そんなホラー&サスペンスな状況の中、さらに俺を恐怖のどん底に叩き落とす者が目の前に立っていた。
月明りに照らされ、青く輝く瞳。
開いている窓から吹き込む風になびく蒼白の髪。
キレイな唇の間から頭を覗かせる犬歯のような牙。
そして極めつけはその手に握られた巨大な剣。
一体その剣で何をするんですか?…なんて聞かなくても、だいたい用途はわかる。
一見、普通の…いや、めちゃくちゃ可愛い女の子なんですが…この人、明らかに俺を殺そうとしてます。
俺はただ忘れ物を取りに来ただけなのに…
「藤岡、優…ね」
「はっ…はい!?」
いや、何で俺の名前知ってるんですか?
その少女の年は中学二年生前後…
高校生の俺がビビるほうが変なのかもしれんが、実際に目を合わしたらわかるだろう、この子は人間じゃない。
彼女の持っている剣、並の人間じゃ持ち上げる事すらかなわないほどでかい。
それにもう犠牲者がいるのだろうか…刃には血がべっとりと付いている。
頼むから苦しまない程度にしてくれよ…痛いの嫌いだから。