奈央と出会えたから。<85>

麻呂  2008-02-17投稿
閲覧数[856] 良い投票[0] 悪い投票[0]

この頃ー


あたしと母の住み始めた家はー


母の勤務先のスナックのママの知り合いの伝で紹介して頂いた、家賃二万円の借家の一軒家だったー。


この物件で家賃二万は有り得ない程格安だったー。


別にお化けが出る訳ではない(笑)


家賃の設定は、
あくまでもスナックのママの好意によるものだったー。


以前住んでいたボロアパートは、
母が夜中に帰宅するので、隣の住人からよく苦情が来ていたんだー。


何せ、ボロアパートの壁は薄くてー


音が伝わり易いー。

元々、あのボロアパートはー


長く住むにはかなり辛いものがあったからー。





スナックのママは、とても良い人だったー。


あたしも何度かお会いした事があったけどー


とにかく見た目の派手さとは打って変わって、真面目な女性だったー。


母より幾つか年上だったけどー


数々の人生の修羅場を乗り越えて来た女性とはー


到底思えない程、明るくー


ハツラツとしたヒトだったんだー。


母は、よくあたしに言っていたー。


《ママがいなかったら私は水商売をしていなかったし、
また、そこで働く人達を自分の価値観だけの尺度で見ていただろう。

どんな仕事でも、みんな自分にー
仕事にー
誇りを持って働いているー

それを、この仕事に就いて、実際に身を以て働くまで、
気付かなかった自分が情けない。》





昼間のお弁当屋さんの仕事もー


夜のスナックの仕事もー


お母さんにとってもー


あたしにとってもー

胸を張ってー


自信を持ってー


誇りを持ってー


働けるー


素晴らしい職業だとあたしは思っていますー。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 麻呂 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ