私たちは、外国を模した施設を歩き、さぐりあいの会話をし、キスをした。そしてセックスをするためにホテルに入った。
結婚しているから他の人とセックスしてはいけないとは思っていない。かといって、誰とでも、というほど節操ないわけでもない。
通常人目に触れない部分を他人に渡すような行為。
そんなに奥深くに密んでいるわけではなく、握手するよりは深く、おしっこをしているところを見せるより浅い部分。
それを、簡単に渡せる人もいるし、金や物と引き換えにする人もいる。一生に一人の人にしか渡さない人もいる。
どれがよくて悪いかなんて興味はない。私は、私をもっと知りたいと思い欲しがってくれる男に渡す。そしてなにより、私自身が食べたいと思ったおやつに。
彼のセックスは優しい行為だった。
女に対して飢えも焦りもなく、誤解もない。ひたすら優しいセックス。
私は、少し慣れてないふりをし、でも体は38才の女の反応をしていた。
少し物足りなさを思いながら『とぷっとぷっ』と沈んでいった。
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