放心状態で部屋に戻ったバーリアは、この5年間のノールとの生活を思い返していた。
兄のように慕い、何をするにも一緒に行動していた二人。
思い出が蘇るごとに、恋愛感情とは別の何かがバーリアを不安にさせた。
無期限の修行…いつ帰ってくるかわからない者を送り出すには、それなりに心の準備も必要だったが、出発の朝まであと数時間しかなかった。
バーリア「しっかりしなくちゃ…。お母様が亡くなった時だって、どうにかなったじゃない。帰ってこないわけじゃないんだから…」
そう自分に言い聞かせながら、バーリアは疲れた体をベッドに預けた。
翌日、割れるような頭痛で目が覚めたバーリアは鏡で腫れた両目を確認した。
バーリア「ひどいわ…これじゃ、笑顔で送り出すこともできないじゃない…」
そうつぶやくと、自らの魔力で氷を出し、腫れた目と揺れる心を落ち着けた。
バーリア「大丈夫…今日から私たちは別の場所で強くなるのよ!次に会う時には、ビックリするような大人の女になってるんだから!」
決心を胸に部屋から出ると、重装備のノールが扉の横に立っていた。
一瞬固まったバーリアだったが、ゴクンと唾を飲み込んで、ノールと向かい合った。