* * * * * *
“奈央‥。
ありがとう‥。
君に出会えて本当に
よかった‥。
ボクハ‥
シアワセダッタヨ‥。
アリガトウ‥
アリガトウ‥‥。”
ー誰ー?!
ーあなたは誰なのー?!
ー待って!!あなたの名前はー?!
“ボク?!ボクハー”
ハッー。
また同じ夢だー。
夏が終わりー
秋が近づき始めたー。
あたしはー
いつも同じ夢を見ていたー。
入学してからこの半年の間ー
同じ夢ばかり見ていたー。
あたしの前にー
後ろ向きで立っている男の子ー
あなたは一体誰ー?!
どうしてあたしの名前を知ってるのー?!
何も答えてくれずー
男の子は消えて行くー
そうしてあたしは目を覚ますー。
いつも同じ場面で目を覚ますー。
薬ももうすぐ無くなるー。
近々病院へ行かなくちゃー。
抗不安薬とー
睡眠導入剤ー。
最早あたしには、
この二つの薬無しでは生活が出来なくなっていたー
この二つの薬はー
そんなに強い薬ではないと、病院の先生は言っていたけどー
一種の自己暗示的作用もあるのだろうー
これを飲むとー
高ぶっていた気持ちが治まりー
夜はよく眠れたー。
人間の心って弱いものなんだねー。
弱くてー
もろくてー
崩れやすいー。
あたし自身ー
こんな薬を飲む事になるなんてー
思ってもいなかったのだからー。
ここのところあたしは母に心配を掛け過ぎているかも知れないー。
お母さんごめんねー
心配ばかり掛ける娘でー
本当にごめんねー。
今日の晩御飯は、
お母さんの大好きなー
あたし特製マカロニグラタンに決まりだね‥‥‥。