あれから、俺たちは約束もしていないのに、放課後、屋上で会っていた。
芽衣は、客観的に俺を見てくれて、何でもはなせる存在になっていた。
芽衣と話すことで、少しずつだが、失恋の痛みが消えていくのがわかった。
「ねぇー…直はさ、結局のところ、どうしたいわけ…?」
「どうしたいって…わかんねーよ……けど、藤峰に勝つ自信なんてねぇし…」
「そか………」
悲しくて、思わず空を見上げた。茜色に染まった、きれいな夕日が俺たちを包んでいた。
「…様子を見るのも大事なんじゃない?自分の気持ち見えないのに、なんかしても、逆効果だと思うよー…」
「そだな…」
客観的な意見は、意外にも説得力があって、俺の頼りにもなっていた。
芽衣のアドバイスを聞くために、俺は屋上への階段を登っているのだろうか。
少しずつ、気持ちに変かが生まれてきている…?