帰り道、外はすっかり明るくなっていた。私はしばらくの間さっきまでの余韻に浸って、夢見心地でいた。
カラスが出されたゴミに群がっている。
こんなのを見ると現実の世界に急に引き戻される。
!!!!!!!
カラスの群の中で、ゴミ袋をベット代りに一人の男が体を丸めてスヤスヤ眠っていた。
Kei!!!!
私の憧れの人がゴミの中で寝ている…。
これは夢!?
恐る恐る近寄って、カラス達をシッシッっと手で追い払う。
やっぱりKeiだ。
私はためらいながらも声を掛けた。
「あ、あの…Keiさん!?」
起きない。
このままにしといた方がいいのだろうか?
私は周りを見回した。誰か連れの人がいないか探したが見当たらない。
私は意を決してKeiの体を揺すった。
Keiの腕に触れて、私の頬が赤くなる。
「あ、あの〜」
「ん〜っんだよ!」
Keiはムニャムニャ言いながら目を薄く開いた。
「え!?誰?」
「あの、大丈夫ですか?」
「はっ!?俺何でゴミの上に寝てんの?」
Keiはちょっと混乱していて、私はどうしたらいいのか分からなくて、そのうちおかしくなって二人で少し笑った。
Keiが起こしてくれた御礼にと近くのファーストフード店でお茶でもと誘ってくれた。
私は夢にも思わなかった展開に少し動揺したけど、これを断る理由なんてなく、二人でお茶をした。
私は緊張で何も喋り掛けられなくて、ただただコーヒーカップに目を向けていた。
「clubにはよく来るの?」
「はい…」
「そっか。じゃあ俺の曲聞いた事ある?」
「あります!てゆ〜か私Keiさんの声が大好き」
「ハハッ!!嬉しいなぁ。ありがとな」
私達は色んな事を話した。お互いの名前はもちろん年齢や血液型や好きな曲や好きな食べ物。携帯の番号。
それから2ヵ月後
私達は付き合う事になった。