カルナ〜?〜

堂本エリ  2008-02-18投稿
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「カルナ!」
私、佐伯ハルナ。25歳。
保育園の先生をしています。

こうして毎日、世話の妬けるクリクリの舌の短いガキから「カルナ」と呼ばれる日々を送っています。

「どうしたの〜?優太クン。」
「ブロックどこ?」
「ゴメンねぇ。奈々子先生に聞いてくれるかな〜。」
「あーい!奈々子先生に聞く!」

このように他の先生の事はちゃんと「先生」と言います。
「カルナ先生!」
この保育園で唯一図太い声を持つ男。
「どうしたのぉ〜?健児先生〜。」
1ヶ月前、女性しか従業員がいないこの保育園で男性の必要性が求められた。
なんてことない、重たい荷物が運べない等ただの口実で、理事長が可愛い男の子を見たいが為。即決定となった。
しかし、従業員は十分足りている。
よって、この安藤健児は10人の応募者から1人選ばれた18歳の大学1年生。バイトクンである。
こんな女みたいな顔した奴のどこがいいのか?
専らイカツいおっさんが好みの私は他の先生逹の気がしれなかった。
「愛ちゃんがカルナさん呼んで来いって泣きわめいてるんすよ。」
「言葉を慎みなさい!それから、私は『ハルナ先生』です!」
まったく。今の大学はどんな教育してんの?
おばさんの説教をウザそうに聞く態度丸出しの彼の横を足早に通り過ぎ、泣きわめく愛ちゃんの所へ行った。
「どうしたのぉ〜?」
「猫ちゃんのハンカチ忘れちゃった。」
そんなようなところだ。
「お家に帰ったら猫ちゃんいるから、今日はこのブタちゃんで遊ぼう!ブーブー!」
この通り。ちょっと人形を動かしたらすぐ笑う。
鮮やかな人気先生の技だ。

「流石ですねぇ。勉強になります。」
「健児先生もブーブーちゃんと遊びますかぁ〜?」

3歳の子供と同じような笑顔を作るノッポの男。
私はこうして毎日毎日30人のガキと1人のガキみたいな先生をお世話している。

結婚は遠のいて行くばかり。
出会いないもの。


なんて気持ちは2週間後に打ち崩された。



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