その日の放課後。龍一は部活にも行かず、さっさと帰ろうとしていた。
なぜなら化け物に襲われた日以来、夜を恐れるようになったからだ。
(暗くなる前に帰らないと・・・もうあんな事はごめんだ。)
そう思いながら足を早め、ちょうど校門に差し掛かった時だった。
「お〜い、リュウ!」
後ろから走る音とともに声が聞こえた。龍一の早足が止まる。後ろを振り向くと、そこにはやはりアキラがいた。
「なんだよ?」
龍一の質問に息を切らしながらアキラは答えた。
「一緒に帰ろうぜ。あ、あとあのたこ焼き屋よってこ!いつものあそこ。」
「・・・あー・・・」
龍一は腕を組みながら、断る言い訳を考えた。アキラとたこ焼き屋に寄って早く帰れたことはない。雑談で時間を忘れてしまうからだ。よれば確実に夜になるだろう。
「何か用事でもあんのか?」
煮え切らない龍一にアキラが聞いた。
「いや、別に無いけど・・・。」
龍一は考えたがうまい言い訳が思いつかなかった。
「じゃあいいだろ?ほら、おごってやるからさ。」
アキラは龍一の背中を押し、半ば強制的にたこ焼き屋へ連れていこうとした。
「あーもう、分かった分かった。」
龍一は自らたこ焼き屋に足を運びはじめた。
(まぁ・・・いっか、大丈夫だろ・・・)
龍一はこの選択をあとで後悔することになるとは、思いもしなかった・・・