次の日に俺は退院した。退院までにした事は職場にTELし、1日休暇を伸ばした事、東京への飛行機とビジネスホテル、食事(イタリアン)の予約を寒い屋外でしたくらいだ。
心配かけてしまったとはいえ、顔を見たことがない女友達に御礼をするのは不思議な感覚だった。
果たしてキョンは怖いんじゃないだろうか?それと同時にあのかわいらしい声からして…美人?と変な期待をしてる俺がいる↓↓彼女でも何でもないのに…
一応キョンにTELしてみた
『もしもし』
「俺だけど、もう少ししたら行くけど大丈夫かい?」
『大丈夫って何が?』
「お互いTELでは仲良しだけど顔合わせは初めてでしょう??キョンは怖くないの?」
『うーん』
ちょっと沈黙。
『大丈夫、信じてるから』
「そうか、わかった。」
TELを切り、空港へ向かう。外はとても晴れていて旅をするには幸先の良いスタートが出来そうだ。
飛行機に乗って羽田に向かう。機内で寝て起きてみると空から見ていた北海道の雪が残る白い大地から海に隣接する様々な工場が並び、奥には考えられないくらい背の高いビルが見える風景に変わっていた。
東京に来てしまった。羽田にて辺りをキョロキョロしてしまい、田舎者まるだしの俺がぽつり。道に迷いながらモノレールへ、乗ったところでキョンにメールしてみた。
「羽田に着いて今、モノレールに乗り換えたよ!ドキドキしてきた」
『私も。恥ずかしくて顔あまり見れないかも』
「少し話せばなれるよ」
『そうだね、上野公園側の改札口で待ってるから』
メールしてるうちにモノレールは浜松町に到着。また乗り換えて上野へ到着した。
着いた途端にキョンにTEL。
「着いたよ」
『うん、赤のコート着てるのが私だから』
「わかった、あ、いたいた」
俺が手を振ると向こうも跳びはねながら手を振り返した。改札口を通ってキョンに近付く。
「はじめまして?かな?」
『?だねぇ?』
キョンは想像していた通りだった。美人。こんなピアニストがモテない訳がないと言うくらいだった。赤いコートがとても似合っている。そして俺達は春風が吹く上野公園へ歩き出した。
これが俺達が出会うまでの話。全く違う世界の中で生きている北海道と東京に住んでる二人が出会った瞬間。
ふと見て気付かないものを見つけた感覚にそれは似ていた。