夏にも風にも

サリー  2008-02-19投稿
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扇風機の前で声を出していたら裕太に「お前ばかじゃねぇの?」と言われた。

「ああ゛あ゛あ゛ー、バカじゃな゛い゛でずー」
「はぁっ」

ため息を吐いた後、サキちゃんは子供でちゅねー、と宿題のプリントに目を向ける彼は、私の幼なじみだ。高校一年生の今の今まで仲良くて、そんな裕太に私は秘密がある。

「あちぃから扇風機回して」

そう言って宿題を続ける裕太に、私は扇風機を向けてあげると隣からじっと顔を見つめた。

「なに」

「好き」

「ふーん、そう」

そう言った後すぐに裕太は驚いた。

「はっ、好き?!」

裕太の髪はふわふわしていて触ったら気持ちよさそうだ。そう思ったら勝手に手が伸びた。

「ずっと好きだったよ」

意外にも冷静に言える私は、度胸があるんじゃないだろうか。目の前で顔を真っ赤にしている裕太よりは、と思った。予想通り、裕太の顔はふわふわしていて気持ちいい。

「裕太は?あたしのことどう思う?」

「俺は、」

一度私から目をそらすと、裕太は「俺も好き」と続けた。キスをしている間、穏やかに吹く扇風機の風が心地よかった。



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