京介達がいつも行く焼き肉屋は個人経営で店もそんなに広くないということもあり焼き肉屋の親父さんとは顔見知り、そのため京介達はこの店の変化には人一倍敏感だ。
この日も一つ変化があった。どうやら京介達と同い年くらいのバイト君が1人入ってきたらしい。
「バイト君年いくつ?」
馴れ馴れしい宗太は躊躇することなくバイト君に絡んだ。
「え…?僕は16ですけど」
さすがに見ず知らずの他人に話かけられたら驚くようだ。
「マジ!?同い年じゃん!高校はどこ?」
「…………」
妙な沈黙、そう思ったのは京介だけだが。
「……おいしそう…」
「は?何?この子がどうかした?」
「…あ…!いえ、妹さんですか?」
優はそんな2人の会話は耳に入ってない様子で肉を噛みきるのに苦戦している。
「え?まぁそんな感じ、昨日から俺のペット…じゃなくて妹」
バイト君はあきらかに優を見ている。どこかで見たことある表情…京介はしばらく考える…思い出した。そうだ、宗太が焼き肉を目の前にしたときの表情、京介はそう思った。