拓の死因は交通事故。現場は見通しの良い交差点だった。もちろん、相手の方が信号を無視した為に起こった事故だった。 「拓、ねぇタク、目を開けてよ。ねぇ、ねぇってばー。」 拓の遺体に向かって大声で叫ぶわたしを拓の兄、『正章』（まさあき)は必死に慰めようとした。正章は泣きじゃくるわたしの手を引き、黙って病院のロビーへ連れて行った。なかなか泣き止まないわたしをなだめるのはきっと大変だっただろう。いつの間にかわたしはマサの腕の中で眠っていた。わたしが泣き疲れて眠っている間にも拓の体はみるみるうちに冷たく、固くなってしまった。 拓はわたしを置いて天国へ逝ってしまった。 原田 拓也 享年15歳
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