『奈央。掃除当番なの?!じゃあ俺、
3ー5の高橋んトコにいるから。終わったら来て。』
『うん。ごめん。終わったら急いで行くからさ。』
聖人は、よく三年生のクラスへ行っていたー。
3ー5の“高橋サトル君”はー
聖人とは大の親友らしいー。
何でも小学生の頃からの付き合いだそうだー。
聖人はあたしより二コ年上だからー
本来なら三年生の筈なんだー。
聖人が二年ダブったのはー
先天性の心臓疾患があったのとー
元々病弱で、喘息持ちだったからだけどー
聖人の見た目からはー
それは到底想像する事が出来なかったー。
何故なら、聖人の中学生とは思えない程、恵まれた体型とー
驚く程、ずば抜けた運動神経ー。
特に、そのパンチ力はー
一発でかなりの破壊力があったー。
聖人が心臓が弱いだなんてー
クラスメイト達にとっては、既に知る処となったがー
初めて会う者にとってはー
一体誰が想像出来ただろうかー。
聖人は弱い者イジメはしないー。
決してー
自分より弱い者に火の粉を飛ばす事は無かったー。
人と群れで行動する事も好まなかったー。
だからいつも一人ー。
本当はー
寂しがり屋なんだってコトはー
あたしが一番よく分かっていたー。
だってー
時々見せるー
あなたのその悲しそうな横顔がー
あまりにも切なくてー
愛しくてー
その悲しそうな瞳を見る度にー
その理由が聞けなくてー
苦しくてー
あたしは、またー
何も言えなくなってしまうんだ‥‥‥。