しかしその次の日である。
「カルナ〜。」
「どうしたの?」
「健児先生元気ない?」
子供は敏感だわ。
元気ないように見えたのかしら?
「探して来るね。」
当初の大きな建設ミスでここにはきちんと男子トイレがある。
「オエ〜〜!!」
男子トイレに入る唯一人の人間の叫び声がした。
「健児クン!健児クン大丈夫!?」
保育園にいるという事も忘れ、扉をひたすら叩いた。
すると、ゆっくり扉が開き、青白い顔をした男が現れた。
「すいません。大丈夫っす。」
「大丈夫じゃないよ!」
彼を会議室に連れて行った。
「どうしたの?こんなんじゃ仕事にならないわよ。」
「すいません。二日酔いで。」
「え?」
二日酔い?てっきり、精神的に参っちゃったのかと思った。
「殴んないすか?」
「殴る?何で?」
「法律に反することしたら殴るって言ってたじゃないすか。」
「法律?…あ。」
彼はまた3歳児の笑顔をした。
その顔が、堪らなく愛しくなって…それは、異性に対するものではなくて…本当にここにいる園児を思うような愛しさで…
思わず、彼の長めの茶色の髪をグチャグチャに撫でまくった。
「ちょっ…何すか!?」
その時私はずっと笑っていた。
「バカ!ガキが大人ぶって!あなたはアルバイトでも子供逹からしたら先生なのよ。」
「ごめんなさい。」
あまりにも真剣で、あまりにも恥ずかしいそうな顔をしていた。
少しずつ解けていく心の中で、彼の温かさの正体を探っていた。