京介は優が来た日の事、記憶喪失の事を話した。
朝倉は記憶喪失の事を聞くと驚いていたが少し考えると引き続き優を預かるようにと言ってきた。
「じゃあ、記憶が戻ったら連絡頼むわ。事件のほうも引き続き頼む。」
そう言うと朝倉達は腰を上げた。
「朝倉さん、さっき言ってた事件の犯人…目星ついてるって言ってましたけどそれってもしかして…」
京介はどうしても確かめたかった。そして『あいつ』でない事を心の中で強く願った。
「…弾が発見されていない。おそらく『あいつ』の仕業だろうな」
それを聞いた宗太はガラにもなく弱気な事を言いだした。
「…朝倉さん、俺降りてもいいっすか?…」
いつもの宗太とはあきらかに違う。顔はひきつり声が震えている。
「…それは強制できるもんじゃない。嫌なら降りてもいい。だが、『あいつ』を止めれるのはお前らくらいだ」
そう言い残すと朝倉達は去っていった。
「まぁ…お前が一番痛い目にあってるからな。」
京介は元気づけるように宗太の背中をたたいた。
京介達は1年前に初めて『あいつ』に出会った。京介達は見たこともない能力を前に為すすべなく病院送りにされ、宗太のほうは一週間も生死の境をさまようはめになった。
「…でもやられっぱなしは嫌だな!京介!今度あいつにあったら病院送りだ!」
宗太はいつもの陽気な宗太に戻った。…ように見えたがその顔はまだ恐怖しているように見えた。
「京介!」
宗太は元気良くソファーから飛び降りた。
「何だ?やっぱり降りたいのか?」
「優がいない」
「………」
一瞬の沈黙の後京介達は慌てて事務所から飛び出した。