いつからだろう。
私が他人の心を疑うようになったのは。
「どうしました?」
「何でもないよ。今度、ご飯奢ってあげる!お酒はなしで!」
「マジっすか?いいんすか?」
「いいよ!でも、他の先生とも行ってあげなよ!いじめられるの嫌だから。」
「ハイ!」
本当に魅力的な笑顔をする。
私にもう少し言語能力があれば、この思いを伝えられるのに。
「で?今日はどうするの?仕事出来る?」
「ハイ!頑張ります!」
若々しい元気な返事をして、子供逹の元へ帰って行った。
『あんた、それ残酷だよ〜!』
夜の12時を過ぎた私の部屋に携帯電話から夏子の声が響く。
「そんなに叫ぶ?」
『当たり前でしょ!ハルナ酷すぎだよ。』
私と健児君とのココ一週間程の出来事を喋ってしまった為、今から約1時間の説教が始まる。
夏子とは、大学からの友人で、今は一児の母だ。
もっぱら恋愛にはうるさい。
『ハルナは昔からそうだもん。』
そう。
夏子の言う通り。
気付いた時には誰かが傷ついていた。